#6 Fatigue Shirt
[MA-1]や[A-2]に代表されるフライトジャケット、[M-51/M-65]などのカーゴパンツ、ダッフルバッグやヘルメットバッグ。これらはいずれもアメリカ軍のユニフォームとして採用されていたものであり、現在ではファッションアイテムとして“名作”と呼ばれ、多くのワードローブに定着している。
今回ピックアップするシャツのデザインソースとなっている[ジャングルファティーグジャケット]もそのうちのひとつ。正式名称はトロピカルコンバットコート。1963年からU.S.ARMY(アメリカ陸軍)が採用を始めた熱帯地域での戦闘用ユニフォームだ。これはちょうどベトナム戦争の時期であり、ジャングル地帯の環境に対応するために改良を重ねて完成した装備と言える。実際にベトナム戦争を題材にした映画で兵士が着用しているシーンも多く、目にしたことがある方も多いのではないだろうか。1979年に採用終了を迎えるまでの約16年間で、大きく分けて5回のマイナーチェンジを繰り返しながらその役目を終え、いまでは古着好きの間で高い人気を誇るアイテムとなっている。

スペルバウンド・デザイナーの田村尚継も、そんなジャングルファティーグジャケットに魅了されたひとり。かれこれ30年近くこのモデルを集め続けており、現在でも5~6着は所有しているという。と言うのも、一概にジャングルファティーグジャケットと言えど、年代が変われば生地もディテールも異なり、何よりサイズ分けが細かい。Small-Short(S-S)からLarge-Long(L-L)までの9種類が存在し、さらにそれぞれの年代でディテールが変わるので、ファンの間でも生地(年代)ごとに分けて買う人、同じ年代のサイズ違いを集めている人など、楽しみ方も三者三様なのだ。
田村が「秀逸」と語るデザインの最大の特徴としては、やはり左右対称に付けられた大きな斜め胸ポケットだ。収納力を高めるために設けられた袋ポケットにはセンターにマチが付けられ、内容物の落下防止のために2つのボタンも備わるが、ジャングルでの使用を前提としているため、ボタンの保護を目的とした大きなフラップが付けられている。
他にも様々なディテールが存在するが、こういった機能的な理由によって生まれるデザイン=機能美はミリタリーウェアらしい所以であり、その魅力の核心と言えるだろう。

このトロピカルコンバットコートのデザインをベースに生まれたのが「ダブルワッシャータイプライター ファティーグシャツ」である。不要なディテールは省き、前述した胸ポケットやジャケットと共通するカフスの仕様を踏襲しながら、シャツとして着やすいようにゆとりのあるボックスシルエットで表現している。脇部分は手のかかる折り伏せ縫いと呼ばれる手法を取り入れ、細めの糸を使って細かい運針で縫い上げることにより、シャツとして重要なドレッシーな面持ちは残しつつ、製品をワンウォッシュして天日乾燥をさせることで生地のアタリ感や縮みを生み出している。
[ ミリタリー由来のカジュアルなディテールと仕上げでありながら、品の良いシャツのような生地と縫製仕様]。このミスマッチ感こそがこのシリーズ最大の特徴であり、大きな魅力だ。
このデザインは本作で4シーズン目の展開となるが、ドレスシャツにも使えるような上質な生地に限定し、毎シーズン変更を続けている点もポイントのひとつ。今後もその時々の気分に合う生地を探しながら、継続的にアップデートされていくシリーズとなる予定だ。

スラックスやワンウォッシュのデニムと合わせてスタイリッシュに。
はたまたチノパンやワークパンツでアメカジスタイルの昇華を。
完成度の高いデザインベースを持つ一着として、スタイリング次第で異なる表情を見せる汎用性の高さも魅力となっている。